三叉神経痛(さんさしんけいつう)とは
三叉神経痛は顔の感覚を司る三叉神経が何らかの原因で刺激され、顔面や歯に激しい痛みを引き起こす病気です。特に中高年の方に多く見られます。痛みは突然発症し、日常生活に大きな支障をきたすことも少なくありません。三叉神経は顔の左右に1本ずつあり、額・上顎・下顎の3つの枝に分かれているため、痛みの部位も人によって異なります。虫歯だと思ったら三叉神経痛だった、といったケースもあります。
三叉神経痛の主な症状
三叉神経痛の主な症状は、顔の片側に突然発生する鋭い痛みです。この痛みは「電気が走るような痛み」「針で刺されるような痛み」と表現されることが多く、数秒から数分間続くことが特徴的です。洗顔や歯磨き、食事、日常会話などで顔の特定の場所に軽く触れる・また動かすことで痛みが誘発される場合もあります。繰り返し痛みが起こることから、大きなストレスや不安を感じる原因にもなります。痛みの強さや頻度には個人差があり、症状が進行すると痛みの間隔が短くなることもあります。
- 顔の片側に鋭い痛みが走る
- 痛みは数秒から数分間持続
- 洗顔・歯磨き・食事などで誘発される
- 痛みが繰り返し起こる
見落としがちな初期症状
初期症状として、顔の一部にピリピリとした違和感や、軽いしびれ、時折感じる鋭い痛みから始まることが多いです。初期の段階で適切な診断と治療を受けることで、症状の悪化を防ぐことができます。
虫歯と誤解されやすい痛みの特徴
三叉神経痛の痛みは特に歯や歯茎、顎のあたりに現れることが多いため、虫歯や歯周病と間違われやすいという特徴があります。虫歯の痛みは持続的で鈍い痛みが多い一方で、三叉神経痛は突然発作的に強い痛みが走る点で異なります。歯科治療を受けても痛みが改善しない場合には三叉神経痛の可能性を疑う必要があります。治療の際には、痛みの発生部位や誘因、どのように痛みを感じるかなど、痛みの性質を正確に伝えることが正しい診断につながります。
発症しやすい人
三叉神経痛は、40代以降の中高年に多く発症する傾向があります。また高血圧や動脈硬化などの基礎疾患を持つ方、ストレスや疲労がたまりやすい生活を送っている方も発症リスクが高いとされています。また、家族に三叉神経痛の既往がある場合も注意が必要です。
三叉神経痛の原因について
三叉神経痛の主な原因は、三叉神経が脳内の血管などに圧迫されることによるものが多いですが、明確な原因が特定できない場合もあります。
三叉神経痛の治療法と医療機関の選び方
三叉神経痛の治療は症状の程度や原因に応じて選択されます。主に薬物療法が第一選択となりますが、効果が不十分な場合は神経ブロックや手術療法が検討されます。治療を受ける際は、神経内科や脳神経外科、ペインクリニックなど、三叉神経痛の診断・治療経験が豊富な医療機関や医師を選ぶことが大切です。
違和感があるときは早めに専門医に相談を
三叉神経痛は、早期発見と適切な治療が非常に重要な疾患です。顔や歯に原因不明の痛みや違和感がある場合、早めに神経内科や脳神経外科などの専門医を受診しましょう。当院でもペイン外来を行っていますので、歯科治療を受けても痛みが改善しないような場合にはお気軽に相談ください。
監修歯科医師
日本歯科麻酔学会(専門医/認定医/名誉会員)
嶋田 昌彦(しまだ まさひこ)
東京医科歯科大学 名誉教授
日本歯科麻酔学会 専門医・認定医、名誉会員
日本口腔顔面痛学会 指導医・専門医
日本障害者歯科学会 指導医・認定医
