歯科のラバーダムとは?
歯科診療におけるラバーダムとは、治療中に唾液や細菌が治療部位に入らないようにするため、また、治療に用いる消毒薬などが、口腔内に漏れるのを防止し、治療する歯だけを口腔内から隔離する器具です。このラバーダムは主に根管治療や虫歯治療などで使われ、治療の精度や安全性を高める役割を果たします。日本ではまだ使用率が低いものの、欧米では根管治療における標準的な治療法として広く普及しています。ラバーダムを使うことで、治療中の感染リスクを大幅に減らし、患者さんの歯を長持ちさせることができるのが大きな特徴です。またラバーダムを装着することで、治療中の器具の誤飲や歯肉の損傷も防止できるほか、治療部位が乾燥した状態を保てるため、治療時の接着剤・薬剤のパフォーマンスの向上にも効果的です。このようにラバーダムは感染防御、防湿、精密な治療を叶えるのに役立ち、歯科治療の質を大きく向上させる重要な役割を担っています。
- 治療部位を唾液や細菌から守る
- 治療の精度と安全性が向上
- 治療中の器具誤飲防止・歯肉の損傷の抑制
- 接着剤や薬剤の効果的な塗布が可能
どんな治療で使う?ラバーダムが活用される主な治療法
ラバーダムは主に根管治療(歯の神経の治療)で使用されていますが、虫歯治療や詰め物・被せ物の接着、ダイレクトボンディング、インプラント治療など幅広い治療で活用されています。インプラント治療や自費診療においても、より高い精度や安全性が求められることからラバーダムを使用した治療が行われています。
- 根管治療
- 虫歯治療・詰め物・被せ物
- ダイレクトボンディング
- インプラント治療
ラバーダムを使う治療と使わない治療の違い
ラバーダムを使う治療と使わない治療では、治療の精度や安全性に大きな違いが生まれます。ラバーダムを使わない場合は、唾液や血液が治療部位に混入しやすく、感染や再発のリスクが高まります。また治療中の器具の誤飲や誤嚥のリスクも上がるため、患者さんの安全面においてもラバーダムの使用は大きなメリットとなります。
歯科ラバーダム治療の流れ
はじめに治療する歯を特定し、ラバーダムシートに穴を開けて歯を通します。次に、クランプやフロスでシートを歯にしっかり固定し、治療部位以外を完全に隔離します。その後、治療中においては、マイクロスコープなども併用して精密な処置が行われます。治療終了後は、ラバーダムを外して口腔内を洗浄し、治療部位の最終的な確認を行います。
よくある知恵袋Q&A
ここまでラバーダムの知識を深めてきましたが、普段の虫歯治療でラバーダムを使用したことがない場合には不安に感じるかたもいるかもしれません。ラバーダムについて患者さんからよく寄せられる質問をまとめました。
「ラバーダムは痛いですか?」
対象の歯に対して、装着中に圧迫感など多少の違和感はありますが、痛みはほとんどありません。
「なぜ日本ではあまり使われていないの?」
保険制度や歯科医師の習慣が影響していますが、近年は導入する歯科医院が増えています。
「費用はどれくらいかかる?」
保険適用の場合は追加費用がかからないことが多いですが、自費診療では別途費用が発生する場合もあります。詳しい治療費については、事前に歯科医院に問い合わせることをおすすめします。
ラバーダムの保険適用・費用について
ラバーダムは、根管治療など一部の治療で保険適用となっていますが、治療内容やクリニックによっては適用外となる場合もあります。自由診療では、ラバーダムの使用に別途費用が発生することがあります。
クリニックごとの対応と患者の選択ポイント
ラバーダムの使用はクリニックごとに対応が異なります。治療の質や安全性を重視するクリニックでは積極的にラバーダムを導入していますが、すべての歯科医院で標準的に使われているわけではありません。患者さん自身が治療の質や安全性を重視する場合は、ラバーダムの使用有無を事前に確認し、納得できるクリニックを選ぶことが大切です。
当院での説明・診療
当院では原則としてラバーダムを使用した根管治療を行っております。患者様にその重要性やメリットを丁寧にご説明し、ご納得いただいた上で治療を進めています。治療の流れや費用についても事前にしっかりご説明しますので、安心して治療を受けていただけます。
根管治療をはじめとした精密さが重要となる歯科治療では、治療時の正確性や緻密性により将来の歯の健康や審美性に大きく影響します。より長く健康で美しい歯を保つために、当院では治療時における適切な器具や薬剤の使用を徹底しております。
監修歯科医師
日本歯内療法学会 専門医
古澤 誉彰(ふるさわ よしあき)
日本歯科大学 生命歯学部 卒業
東京歯科大学 大学院 歯学研究科 卒業(歯内療法学専攻)
東京歯科大学 水道橋病院 保存科 勤務
日本歯内療法学会 専門医
日本歯科保存学会 認定医
日本顕微鏡歯科学会 認定医
日本歯周病学会 会員
